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2012年06月23日

小太郎

オコジョの小太郎

2012年6月16日(土)
鳥海山と最上川の間に位置する内陸部の里川で小太郎はいつものとおり捕食の準備をしていた。
梅雨入りをした里川の夜明けは低い雲が覆い、時折吹く湿った風が小太郎の丸い耳と背中の茶毛を撫でる。
最終民家から100メートルほど奥まった川岸の土手の片隅に小太郎の住まいはあった。
その昔、田んぼの開拓時に掘り出された岩が藪の中に無造作に捨てられ、それが小太郎の岩屋となったのだ。
雑草に覆われたその岩屋から小太郎が半身乗り出し狩りに出ようとしたその時である。

田んぼと蕨畑の間の岩だらけの坂道をCR-Vが慎重に降りてきた。

タイヤが岩に擦れて軋む音が響きわたる。小太郎は思わず岩屋に固まり様子をうかがった。
オフロード車でもやっと通れる細い坂道を抜けたCR-Vは川岸の土手に静かに止まった。

車から2人の雄のホモサピエンスが降りてきて川を覗き込み、煙の出る白い棒をくわえ何やら話し合っている。
「やっぱしここも水が少ないね・・・」
「まあ、1か月くらい雨らしい雨も降っていないから大きな川に行かない限り無理かな。」
「先行者もいないようだから行くだけ行きますか・・・・」

久々に釣り人が来たようだ。

小太郎は思った。「こんなに渇水の時はこの川でイワナなんぞ釣れないさ。」
「この川は2階建ての伏流水があってイワナはみんな地下の川に避難してるのさ!」
「まったく迷惑な話だ、せっかくの朝食が台無しだ・・・」

そう思うと小太郎はいてもたってもいられなくなった。

小太郎


腹の虫のおさまらな小太郎は、少し脅かしてやろうと思った。
2人の足元を28センチの小太郎の細長い体が稲妻のように走り抜けると。
「・・・あっ!ネズミ。」

なんと失礼な奴らだ。
事もあろうに偉大なオコジョ族を下賤なネズミと間違えている。
我々オコジョ族は、何倍も大きいウサギも獲物とする勇敢な種族なのだ。
本気になればホモサピエンスの指の1本くらい食いちぎってやるさ。

このまま誤解されたままではたまらないと思った小太郎は、草むらから見通しの良いあぜ道に走り出たかと思うと後ろ足で仁王立ちになった。
前足は威厳をもって胸元に垂らし、堂々と胸を張って奴らの顔をにらんだ。
すると。
「あっ・・ネズミじゃない。なんだあの動物は!見たことないぞ。」

な、、なんと教養のない奴らだ。オコジョ様を知らないのか。

呆れかえった小太郎は、再び2人の足元を得意の俊足で駆け抜けて森の中に姿を消した。

2人の初老のホモサピエンスは暫く小太郎を探していたが、間もなく釣りの用意をして取水路に沿ってダム上に歩いて行った。

もちろん小太郎の思ったとおりイワナは一匹も釣れなかった。


小太郎

天然記念物のモリアオガエル




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Posted by さるちゃん at 23:35│Comments(2)渓流釣り
この記事へのコメント
オコジョかわいいね~。毛並もつやつやでとても健康そう!次見たときは、ネズミって呼ばないであげてね!カエルもかなりデブだね…。
Posted by さるちゃんの娘 at 2012年06月29日 19:25
まだ日本の自然も捨てたもんじゃないね。山奥にはまだ自然がいっぱい残ってるよ。
Posted by さるちゃん at 2012年07月01日 21:09
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