2011年07月08日
釣れない言い訳
2011年5月14日 新潟の某ダムにて
湯気で曇った鏡の前に無造作にプラスチック製の風呂桶と椅子は置かれていた。
千鳥足で入口の引き戸を開け、一番近い洗い場にドスンと腰掛け勢い良くシャワーを出す。
噴出すシャワーは湯煙を上げながらすぐに風呂桶を満たし、やがてお湯は桶から溢れだした。
シャワーを止めるでもなく、じっと眺めているとやがて時間が止まった。
さらに溢れ出すお湯は時間を少しずつ過去へ押し流した。
いったい何がきっかけだったのだろうか。
渓流釣りは重労働である。深夜に車を転がし、体力の極限まで雪の山道を歩き、温泉宿でたらふく酒を飲む。
今回も宴席が終わり、睡魔に襲われて柔らかい布団にうつ伏せに倒れ込むと、やおらマー坊が浴衣の帯を鷲掴みにし、ゴボウ抜きよろしく軽々と私の身体を持ち上げ寝かせてくれない。曰く「団体行動だ」と温泉まで連行される始末。
まあ、この程度のことは釣り仲間では日常茶飯事であるのだが。
原因はよく分からなかったし、私にとってはどうでも良かった。
ただ、気が付くと還暦の老体をまとったハイティーンの私がそこにいた。
チラッと振り返るとマー坊とマスターが湯船に浸かり談笑している。
再度シャワーに目をやる。その瞬間、非日常的な事象が起きていた。
瞬時にして静寂な温泉は修羅場と化したのだ。
マー坊とマスターは悲鳴を上げ、言葉にならない暴言を吐いている。
私は甲高く笑い声をあげ、冷水に切り替えたシャワーを2人に浴びせていた。
逃げ惑う2人。何と楽しいのだろ。
それでも飽き足りない私は、風呂桶に入れた冷水を2人の頭めがけて渾身の力を込めて投げつける。
しかし攻勢はそう長くは続かなかった。2対1の冷水掛け合いに勝てるはずもない。
ほうほうの体で湯船に避難し、首まで浸かったものの敵は攻撃の手を緩めない。
両足をむんずと摑まれた私は隣の湯船に脳天落とし。
湯船の底にしこたま頭をぶつけ、ピシピシと首が軋む。
「痛て~!」と言ったつもりが、「ボコボコ・・・ブコブコ!」と口から泡が吹き出すだけ。
犬神家の湖で両足だけ水面に出している状態だったと思う。
いや、もっと浅いからもっと良く見えたに違いない。
必死にしかしスロモーション感覚で水面に顔を出すと、なんと敵は高笑いをしているではないか。
クラクラしながらも反撃に出たい私と2人の鬼ごっこが始まる。
しかし風呂場は良く滑る。マー坊は逃げる途中で膝を強打したらしく腫れあがっていた。
気が付くと私の肘もすりむいて血がにじんでいる。
(良い子のみなさんは、絶対真似しないようにしましょう!)
いったい何がきっかけだったんだろう。
今回の釣行は3人ともオデコであった。危険な雪の斜面を必死に歩き回っていただけである。
釣りは奥が深い。
条件によって釣れない時もあるだろうし、その条件を読み取るのも釣りの重要な要素である。
同行者といかに楽しむかも、自然をどう満喫するかも重要な要素かもしれない。
釣りは魚を釣るだけではい。釣り上げるものは無限にある。
足を滑らせば、30mメートル 滑落。
慎重に歩かねば、、、
日が射して、気持ちよい眺め。
だが、雪がゆるめば雪崩の危険が。
ダムに続く渓谷は、前日からの雨で早朝から雪シロとなり、水温が低すぎるため最悪条件。
しかし、サラリーマンはいつでも休暇がとれる訳でもないので強行釣行。
予想どおり
おでこ。
来年もまた来ます。
ヤマンバ様
今回も安全に下山させてくれてありがとうございました。
Posted by さるちゃん at 00:36│Comments(2)
│ダム釣り
この記事へのコメント
つい思い出して腹を抱えて笑ってしまいました。まあお馬鹿なわたくしをいつまでも可愛がってください。でもやっぱり冷水は勘弁してください。
Posted by マスター at 2011年07月09日 00:42
これからも怪我しない程度に羽目を外して遊びましょう。冷水・・機会があったらまたやります。
Posted by さるちゃん at 2011年07月09日 11:15
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